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百人一首ちょっと講座

その5

19 伊勢
    いせ
難波潟みじかき芦のふしの間も
あはでこの世を過ぐしてよとや
難波潟に生えてるあの芦の、節と節の間くらい短い時間、そんなちょっとの時間でさえ貴方にあえないのに、このまま一生を過ごせって言うの?
 
25 三条右大臣
   さんじょうのうだいじん
名にしおはば逢坂山のさねかづら
ひとにしられでくるよしもがな
逢うっていう名前の逢坂山、添い寝(さ寝)するっていう名前のさねかずら、名前のとおりの意味があるんなら、山の中のさねかずらをそうっとひっぱって寄せて来るように、貴女が他の人に気付かれないように来れればいいのにね。
 
38 右近
   うこん
忘らるる身をば思はず誓ひてし
人の命のをしくもあるかな
貴方に捨てられ、忘れられるつらさは我慢しますわ。でも、神かけて「変わらない」と誓った愛なのに、その誓いを破ったことでバチがあたって貴方が亡くなってしまうんじゃないかと、心配でなりません。(従来、二通りの解釈があって、素直にいじらしい女の歌と読む説と、せいいっぱいの皮肉と読む説とあります。)
 
39 参議等
   さんぎひとし
あさぢふのをのの篠原忍ぶれど
あまりてなどか人の恋しき
低い草が生えてる原っぱの篠原っていう言葉みたいにずっとずっと目立たないように耐え忍んできたんだよ。どうしてこんなに貴女が恋しいのだろう、もう我慢しきれないよ。(浅茅生というのは短い芽が生えてる原っぱ、小野は知名でなくただ「野」っていうのと同じね。)
 
44 中納言朝忠
   ちゅうなごんあさただ
逢ふ事のたえてしなくばなかなかに
人をも身をも恨みざらまし
あの人に逢うってことが全然なかったら、今みたいに、あの人の事をつれない人だと恨んだり、自分のふがいなさを嘆く事もなかっただろうに。(逢ったばっかりに、恋が芽生え恨んだり嘆いたりするんだ。「なかなか」というのは、反対にとか、かえってとかいう意味。)
 
45 謙徳公
   けんとくこう
あはれともいふべき人は思ほえで
身のいたづらになりぬべきかな
僕が死んでしまったら、僕のこと「いい人だったのになあ」って言ってくれるかもしれない人は貴女しかいないのに、その貴女に見捨てられて、誰にも愛されずに空しく死んでしまうんだ、きっと。(いじけるぞ、もう。ふられちゃったんだよう。)
 
48 源重之
   みなもとのしげゆき
風をいたみ岩うつ浪のおのれのみ
くだけて物を思ふころかな
風がひどくってさ、岩にぶつかる波が砕けるように、ボクばっかり砕け散ってるみたいに、思い悩んでいる今日このごろなのさ。(彼女は冷たいの。ボクのプロポーズにもビクともしないんだよ。)
 
51 藤原実方朝臣
   ふじわらのさねかたのあそん
かくとだにえやは伊吹のさしも草
さしも知らじなもゆる思ひを
どうしてそんなこと言える?言わなくったって、僕の心は伊吹山に生えているさしも草みたいに熱く燃えてるんだよ。この僕の燃えるような思いを君はさほどには思ってないみたいだけどね。(さしも草はよもぎの事ね。もぐさとも言う。愛してますって言えない男心わかって欲しいな。)
 
52 藤原道信朝臣
   ふじわらのみちのぶのあそん
明けぬれば暮るるものとは知りながら
なほ恨めしき朝ぼらけかな
夜があければ、また必ず夕暮れがきて夜になり貴女に逢える。わかってるんだよ、それは。でもねえ、夜明けっていうのは恨めしいものだと思うんだよ。(ねえ、彼女とちょっとでも離れていたくない気持ち、君にもわかるだろ?)
 
54 儀同三司母
   ぎどうさんしのはは
忘れじの行く末まではかたければ
けふを限りの命ともがな
いつまでも忘れないよなんておっしゃるあなたの言葉、これからず〜っと変わらないなんて思えないから、その気持ちが変わらない今日のうちに死んでしまいたいと思うのです。(なんといっても男の人が通ってきてくれなくなったら終わり、っていう社会だもの。心変わりをされて悲しい思いはしたくない。)
 
56 和泉式部
   いずみしきぶ
あらざらむこの世のほかの思ひ出に
いまひとたびのあふこともがな
もう少ししか命がないのです。せめて、あの世で思い出す思い出として、どうかもう一度だけでいいから、貴方にお逢いしたいのです。(今病気で、もうあまり余命がないのです。)
58 大弐三位
   だいにのさんみ
ありま山ゐなの笹原風ふけば
いでそよ人を忘れやはする
有馬山の猪名の笹原に風が吹くとね、そよそよって音がするの。ね、そうよ、なんで私があなたを忘れたりするもんですか?そんなことありません、絶対に!(最近ちっとも遊びにきてくれないあなたの方がよっぽど疑わしいわ。)
 
63 左京大夫通雅
   さきょうのたいふみちまさ
今はただ思ひ絶えなむとばかりを
人づてならでいふよしもがな
今となっては別れるしかないでしょ?でもね、せめて、二人の恋は諦めましょうっていう言葉だけでも、人づてでなくって、直接お逢いして話す事ができればいいのになあ。(彼女は内親王なのですよ。よく通ってたのですがね、三条天皇に二人の恋を知られちゃって番人をつけられてあわせてもらえないんですよ。)
 
65 相模
   さがみ
恨みわびほさぬ袖だにあるものを
恋にくちなむ名こそ惜しけれ
つれない人を恨み、自分が不運なのを嘆いて、泣いてばっかりで涙で袖が濡れっぱなしなのよ。その上、恋してるんだって、片想いなんだってって噂になってしまって、名前までも朽ち果ててしまいそうで残念でたまらないの。
 
73 権中納言匡房
   ごんちゅうなごんまさふさ
高砂の尾の上の桜咲きにけり
外山のかすみ立たずもあらなむ
遠くの高〜い山のてっぺんの桜が咲いたんだよ。感激。里近くの山の霞よ、どうかお願いだから立たないで。(高砂は、この歌では兵庫県の高砂でなく高い山という意味。外山は里近くの山。桜を楽しみたい、霞が立つと見えなくなるからって言う事。)
 
74 源俊頼朝臣
   みなもとのとしよりあそん
憂かりける人を初瀬の山おろし
はげしかれとは祈らぬものを
初瀬のお寺に願をかけて、私につらく当たる人が私になびいてくれるようにお願いしたけど、初瀬の山から吹き降ろす風のように激しくきつく吹いてくれとは祈らなかったのに。(長谷寺の観音様におまいりしたんだよ。なのに、やさしくなびいてくれるどころか、ますますつらく当たって逢ってくれないんだよ。)
 
80 待賢門院堀川
   たいけんもんいんのほりかわ
長からむ心も知らず黒髪の
乱れてけさはものをこそ思へ
夕べ、一緒だったでしょ?ずっとずっと一緒だよって約束したのとっても嬉しかったんだよ。それなのに、後朝(きぬぎぬ)の今朝、私の黒髪は寝乱れて、とかすことができないの。私の心もおんなじで、思い悩んで、乱れて、あれこれ物思いにふけってしまうのです。(後朝っていうのはデートした次の朝のこと。)
 
82 道因法師
   どういんほうし
思うひわびさても命はあるものを
憂きに耐へぬは涙なりけり
悲しくってわびしい事ばかり。でも、命はなくならないで生きてきたのに、つらい事に耐えられないのは流れる涙なんですよ。(何がつらかったかって?生活一般なんでもいいけど、やっぱり恋のことでしょう。生活苦の歌ってあまりみやびでないからね。)
 
85 俊恵法師
   しゅんえほうし
夜もすがら物思ふころは明けやらで
閨のひまさへつれなかりけり
訪ねてきてくれない人のことを思って一晩中物思いに沈んでる時って、なかなか夜が明けないのよ。寝室の戸の隙間が朝の光で白んで来る事もなく、あの人も、閨の隙間もみ〜んなつれないよ。(女性に代わって詠んでみました。恋人のいない夜なんて早く明ければいいのに、そういう時って長いんですよね、夜が。)
 
92 二条院讃岐
   にじょういんのさぬき
わが袖は潮干に見えぬ沖の石の
人こそ知らねかわくまもなし
あたしの着物の袖っていうのは、海ん中にあって潮がひいても水面に出てこない沖の石みたいなもんで、あの人は気付いてないみたいだけど、あの人のためにいつも涙で濡れてるんだよ。(その乾く間がないってとってもつらいってわかってくれる?)
 

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