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百人一首ちょっと講座

その3

31 坂上是則
   さかのうえのこれのり
朝ぼらけ有明の月と見るまでに
吉野の里にふれる白雪
朝、空が明るくなりかける頃、ふと見ると、外がいやに明るいじゃん。は〜ん、有明の月がでて、それで明るいんだろうと思ってよく見ると、違ってたね。吉野の里が一面の銀世界。雪だよ。雪が降ったんだよ。それで明るかったんだ。(有明の月というのは有明海じゃなくって夜明け頃の月の事ね。)
64 権中納言定頼
   ごんちゅうなごんさだより
朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに
あらはれわたる瀬々の網代木
明け方の宇治の川岸は一面の川霧。それが薄くとぎれとぎれになって消えていく。そうするとさ、川の瀬にある網代木がだんだん見えてくるよ。(って、あったりまえだったか。でも、感動しちゃったんだもん。網代木っていうのはね、網の代わりに竹なんかで編んで、川に仕掛けとくと魚がかかるやつ。)
50 藤原義孝
   ふじわらのよしたか
君がため惜しからざりし命さへ
長くもがなと思ひけるかな
貴女に逢えるならこの命惜しくはない、と思ってたけどさあ、いざ、あっちゃったらねえ、やっぱり、貴女のためにいつまでも長生きしたいなあと思ったよ。(それってずるい?でも、ほんとにあの時はそう思ってたんだよ。)
11 参議篁
   さんぎたかむら
わたの原八十島かけてこぎ出でぬと
人にはつげよあまのつり舟
ひろ〜い海の島がいっぱいあるところをずっと通って漕ぎ出していったと、なんとかして私の家族に伝えておくれ、そこにいる釣り舟の漁夫たちよ。(遣唐使のことでお上にたてついて流人の身なんです。手紙も出せないし、もしかしたら生きて帰れないかもしれない・・・)
76 法性寺入道前関白太政大臣
   ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱく
    だじょうだいじん

わたの原こぎいでて見れば久方の
雲ゐにまがふ沖つ白浪
広い海原に船を漕ぎ出して、はるか遠くを見てたらさ、ずっと沖のほうはまるで雲かと思うような白い波が続いてて、う〜ん、いい景色だなあ。(ねえ、遠くの海眺めてるのって気分いいよね。ちょっと見似てるけど上の歌と比べると全然雰囲気違うでしょう?僕?名前は忠通。75番参照。)
20 元良親王
   もとよししんのう
わびぬれば今はたおなじ難波なる
みをつくしても逢はむとぞ思ふ
噂になっちゃって逢えなくなって、寂しく悩んで生きてるなんて、死んでるのとおんなじだよ。死んでもいいから貴女に合いたい!!(澪標(みおつくし)というのは、難波にあった、水の深浅を知らせ船の通路を示す杭のこと。「身を尽くす」命をかける事と掛けた。)
88 皇嘉門院別当
   こうかもんいんのべっとう
難波江の芦のかりねのひとよゆゑ
みをつくしてや恋わたるべき
難波の海の芦の刈根の一節くらいちょっとだけの旅の仮寝の一夜だったのに、忘れられないの、あの人が。命ある限り、澪標のようにずっとあの人を恋しつづけていくべきだろうか?(いや、そうではない。忘れるべきだと理性の声が言っている。でも、どうしても忘れられないのよ。どうしよう。)
 中納言家持
  ちゅうなごんやかもち
かささぎの渡せる橋におく霜の
白きを見れば夜ぞふけにける
宿直だったんだ。宮中でね、(七夕の話でかささぎが天の川に翼で橋をかけたでしょ?あんなふうな)きざはしの上にいつの間にか霜が降りて、だんだん白さを増してくる。夜はしんしんと更けていくのだよ。(きざはしって階段ね。お雛様で、御殿のあるのだと真中に階段ついてたりするでしょ?)
 
28 源宗于朝臣
   みなもとのむねゆきのあそん
山里は冬ぞさびしさまさりける
人目も草もかれぬと思へば
山里っていつだってさびしいけどさ、やっぱり、冬は格別さびしいね。人も来てくれなくなっちゃったし、草も枯れてるし。(当然って言えば当然だけどね。)
 
29 凡河内躬恒
   おおしこうちのみつね
心あてに折らばや折らむ初霜の
おきまどはせる白菊の花
てきとうに勘で折ったら折れるかもしれないね。初霜が真っ白でさ、白菊も白くてきれいでさ、その上におりた霜なんて、どっちがどっちか迷っちゃうよ。(ちょっとオーバーかなあ。でも、いっぺんそんな風景みてごらんよ。きっとわかるよ。)
 
78 源兼昌
   みなもとのかねまさ
淡路島かよふ千鳥のなく声に
幾夜ねざめぬ須磨の関守
淡路島との間を飛んでいる千鳥が鳴いている物悲しい声で、須磨の関守は幾晩寂しくて目を覚ましてしまっただろうね。(旅に出て関所の近くで泊った時、千鳥の声がもう、寂しくて寂しくて寝付かれなかった。関守さん、毎晩あれじゃ大変だろうね。)
 
83 皇太后宮大夫俊成
   こうたいごうぐうのたいふとしなり
世の中よ道こそなけれ思ひ入る
山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
この世の中はねえ、いやなことから逃げようと思ったって、道はないんだよ。山奥にでも行ったら逃げれるかと思ってみたけど、そこでも鹿がさ、悲しそうな声で鳴いてんの。(鹿だってつらい事があるんだろう、きっと。どこへ逃げてもヤな事ばっかり。あ〜あ。)
 
93 鎌倉右大臣
   かまくらのうだいじん
世の中は常にもがもななぎさこぐ
あまの小舟の綱手かなしも
この海岸でね、ほら、漁夫が舟の引綱をひいてるでしょ。その景色はなんかステキで、いつまでも眺めていたいと思うよ。この世の中もね、いつまでも変わらないでいてくれたらいいなあ。
 
95 前大僧正慈円
   さきのだいそうじょうじえん
おほけなく浮き世の民におほふかな
わがたつ杣に墨染の袖
私めは比叡山延暦寺の坊主でございます。ここの宗祖さま伝教大師さまのように、私も身分不相応ではありますが、この墨染の衣の狭い袖を浮き世の人々に覆いかぶせ、仏の加護を願っております。(私が立っている杣山とは比叡山をさします。延暦寺を建立したのが伝教大師。)
 
97 権中納言定家
   ごんちゅうなごんていか
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに
焼くや藻塩の身もこがれつつ
約束したのにちっとも来ない人を待っている私の心は、あの淡路島の松帆岬の夕なぎ時に焼く藻塩みたいに、じりじりとこがれてるのよ。(藻塩を焼くっていうのは、昔の塩の作り方だよ。待ちくたびれてじりじりしてる女性の身になって詠んでみました。ボクが百人一首選んだんだよ。)
 
99 後鳥羽院
   ごとばいん
人もをし人もうらめしあぢきなく
世を思ふゆゑに物思ふ身は
僕の周りには、愛すべき人もたくさんいるけど、ヤなヤツもいる。それって情けないよね。世の中は僕の思うようにはいかない。世の中の事を気にしてるとね、悩んでしまうわけよ。(鎌倉時代、公家が二派に割れていった頃、その社会情勢も悩みの種だし、公家たちに愛憎の情を持つ自分も情けないし。)
 
100 順徳院
   じゅんとくいん
ももしきや古き軒端のしのぶにも
なほあまりある昔なりけり
今、御所の古くなった御殿の軒端に生えている忍ぶ草を見るにつけても、ああ、昔は良かったなあとしのぶにしのびきれないくらいなつかしい昔の御代だよ。(草が生えるほど荒れた御殿。昔のように宮中が栄える時代にならないかなあ。二十歳くらいでこんな年よりじみた歌詠むほどに苦労してるんです。)
 
35 紀貫之
   きのつらゆき
人はいさ心もしらずふるさとは
花ぞ昔の香ににほひける
この家の主人の心はどう変わったかしらないけどさ、梅の花だけは昔と変わらずにいい香りに匂ってるよ。(昔よく行った初瀬の里の宿の主人が「最近お見限りねえ。」って出迎えもしないで使用人に皮肉言わせたもんだからお返しにね、梅の花のほうが優しいよって言ってやったのさ。)
 
66 前大僧正行尊
   さきのだいそうじょうぎょうそん
もろともにあはれと思へ山桜
花よりほかに知る人もなし
私がお前を見て懐かしいなあと思うように、お前も一緒に懐かしがっておくれ、山桜くん。こんな山奥にゃ、お前くらいしか私の寂しい気持ちをわかってくれるものはないんだから。(修行で山奥に行ったとき、1本だけ寂しく咲いている桜を見て、自分も一人で修行中、励ましあいたいと思った。)
 
96 入道前太政大臣
   にゅうどうさきのだじょうだいじん
花さそふ嵐の庭の雪ならで
ふりゆくものはわが身なりけり
花をさそって吹くみたいな嵐の時の庭なんて、花が雪みたいに降ってるんだけど、本当に降ってるのは、だんだん年とっていく私のことなのさ。(ふる、に雪や花が降るのと、年を経るのとが掛詞になってるんだよ。栄華を極めた作者も年には勝てません。咲き誇る桜の花も嵐と時には勝てません。)
 

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